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マレーシアの現地採用とは?マレーシア就職のプロが徹底解説

「現地採用と駐在の違い、実際のところはどうなのか?」という、よく聞かれる質問。

海外で働こうと情報収集を始めると、よく見かける・よく聞く2つの言葉。違いがよく分からない方も多いかもしれません。 
ここでは、日本採用(駐在)との比較をしながら「マレーシアの現地採用とはなにか?」についてご説明します。

​目次

  1. マレーシアの現地採用と駐在の違いとは

  2. 気になる待遇面について

  3. 給与相場について

  4. 賞与(ボーナス)・諸手当・福利厚生等

  5. 日本人求人の傾向

  6. 求められる人物像

  7. マレーシアの現地採用のメリットとは?

1. マレーシアの現地採用と駐在の違いとは?

海外で働く場合、「現地法人で採用される現地採用」という場合と「日本本社で雇用されている駐在員として海外法人に出向」という場合の大きく2つのパターンに分けられます。 

それぞれの違いは以下の通りです。

マレーシアの現地採用

日本採用(駐在)

雇用元

現地の日系・外資系現地法人や現地ローカル企業

日本法人

給与

現地相場(現地通貨)

日本での給与+現地給与

日本の保険・年金

自己負担(任意加入)

会社負担

福利厚生

下記の一部あるいは全て貸与/支給の場合あり(企業による)

  • 医療保険

  • 社用車

  • 住宅手当

  • EPF(従業員積立基金)など​

  • 住宅手当

  • 扶養家族の手当支給

  • 社用車貸与 *自身で購入の場合もあり​

  • 海外旅行保険加入など

勤務地

異動は原則無し​

会社の辞令による​

任期

無し(自分の意志で決めることができる)​

一般的に3~5年​

役職

ポジションによる​

マネジメントクラス以上​

2. 待遇面について

日本採用(駐在)の場合は、会社辞令により赴任をしているため、その分の手当やサポートなども手厚いのが一般的です。

マレーシアの現地採用の場合、現地相場に合わせた給与水準のため家賃などを自分でやりくりする必要があります。就労ビザを取得するため外国人の最低月額給与はRM5,000(17万円程度、RM1=34円で計算)以上であることが条件ですが、通常月額給与額はRM5,000以上である事が多く、マレーシアで生活する上で問題ない額が支給されます。また、職種に応じて車が貸与される場合もあり、通勤以外にプライベートで利用可能なケースもあります。

3. 給与相場について

マレーシアの現地採用の給与相場については、職種・業界によって大きく分けて下記の通りです。 

あくまで平均的な月収の目安となりますので、ご了承ください。(すべて税込み) 

職種・業界例

職種​

​給与

総務/人事/秘書/通翻訳​

RM6,000~9,000 (20~30万円)​

経理・財務/法務​

RM8,000~20,000 (27~68万円)​

カスタマーサービス・テクニカルサポート等​

RM7,000~14,000 (24~47万円)​

営業​

RM7,000~15,000 (24~51万円)​

技術(製造業)​

RM10,000~18,000 (34~61万円)​

技術(建設)​

RM12,000~30,000 (34~68万円)​

IT/Web(SE/社内IT/デジタルマーケ)​

RM7,000~15,000 (24~51万円)​

4. 賞与(ボーナス)・諸手当・福利厚生

マレーシアの賞与、諸手当、福利厚生は企業により異なります。

賞与(ボーナス)

賞与(ボーナス)は年1回(2回の企業もまれにあり)、支給月は12月に設定している企業が多いです。

支給額については、一般的に1~3カ月分で、企業の業績や個人のパフォーマンスによって幅があります。

また、賞与(ボーナス)は業績貢献によって支給されるため、初年度は通常支給されないか、もしくは在籍日数に応じた支給額の計算となります。

諸手当

諸手当については、主に役職手当、通勤手当、住宅手当、言語手当、インセンティブ等があります。

※企業によって手当を支給することもあれば、手当の代わりに基本給与を高く設定する事もあり、一概に手当が出るから条件が良いと言えない事もあります。手当を含む総支給額で比較することをお勧めします。

  • 役職手当:採用される役職に応じて、RM300~1,500前後の手当が支給される事があります。

  • 通勤手当:通勤手段にもよりますが、RM100~200前後、もしくは実費精算制で企業が手当を支給することがあります。営業職や技術職の場合、通勤手当の代わりに社用車が貸与されることがあります。

  • 住宅手当:住宅手当を支給する企業は少ないもののRM1,000~1,500前後の手当がつく事があります。

  • インセンティブ:BPO企業などでは営業成績や目標達成率などに応じて、四半期あるいは半期毎などにインセンティブが支給される事があります。 ​

福利厚生

福利厚生は、非金銭報酬で主に有給休暇、傷病休暇、保険、医療サポート、EPF(従業員積立基金)等があります。

  • 有給休暇:初年度で年間8~14日程度で設定している企業が一般的です。雇用法の規定では勤続年数が2年未満の場合、8日/年(年の途中で入社した場合は在職日数に応じて)付与することが定められています。

  • 傷病休暇:MC(Medical Leave)と呼ばれる傷病休暇が年間14日定められています。怪我や体調不良を感じた際には、医師の診断書があれば傷病休暇が使用できます。

  • 社会保障・医療サポート:マレーシアでは下記保険・医療費サポートが一般的です。
    1. 社会保障機構(SOCSO):業務中や通勤時などに起きた病気、傷害に対する補償で、外国人の場合、雇用者がRM86.65、従業員がRM24.75の保険料を負担します。
    2. 医療費サポート:一定額を上限に会社に対して医療費を請求したり、指定病院でのキャッシュレス治療制度を設ける企業が一般的です。上限額の設定やルールなどは企業により大きく異なります。
    3. グループ医療保険・民間医療保険:上記制度とは別に、医療保険を支給する企業もありますが、必須ではありません。
    4. 歯科医療費サポート:RM300~800前後のサポートが、上記②とは別に支給されることがあります。

  • EPF(従業員積立基金):従業員の月給の12%以上を雇用主が、11%を従業員本人が、毎月同時に積み立てていく制度で、年利が平均5~6%程つきます。原則は55歳になると一部の引き出しが可能ですが、55歳を待たずに日本への帰国や他国へ移住する事になった場合、積立金の全額を引き出す事が可能です。 ※外国人のEPF加入は義務ではないため、加入可能かどうかは雇用主の判断によります

所得税

マレーシアの所得税は1~12月の暦年で計算されます。

マレーシアの滞在が182日未満の方は所得税法上の非居住者となり一律30%課され、182日以上は居住者となり所得に応じた税率(0~30%)が課されます。

【所得税に関するポイント】

勤務開始時に非居住者だったとしても、12月31日までに居住者となっていれば、その年の確定申告は居住者として申告、 翌年の確定申告時に還付金を申請することが可能です。

また1年目は非居住者で還付金が申請できなかったとしても、翌年もマレーシアに滞在し居住者となれば、2年目分の確定申告を行う際に、1年目の非居住者だった期間に払っていた分の還付金を申請することが可能となります。

雇用形態

マレーシアの現地採用者の雇用形態は、大きく分けて正社員、契約社員の2種類があります。

契約社員であっても正社員*と同様の福利厚生が適用され、待遇の差もありません。 *「正社員」は、就労ビザが更新できることが前提です ​

外国人の場合、就労ビザの更新が1~2年に1回必須となる事から、ビザの更新と合わせて便宜上、契約社員雇用を導入する企業も多くありますが、パフォーマンス等に問題がなければ被雇用者・雇用主双方同意の元、契約更新となります。

5. マレーシアにおける日本人求人の傾向

業界

日系企業の場合、製造業(特に弱電・半導体業界)・専門商社・物流企業等の求人が中心となります。また、マレーシアは他のアジア諸国よりも外資系企業(BPO・SSC、IT、金融など)の割合が多い傾向にあります。 ​​(2023年業界傾向)

外資系企業のBPOの各種サポート系職種ではプロジェクトによっては未経験かつ日常会話レベルの英語力でも応募可能なものも見受けられます。 SSC(シェアドサービスセンター)での人事や経理、間接購買でのバック・ミドルオフィス系職種の求人がありますが、こちらは即戦力を求められます。

外資系企業では、1つのポジションで複数名採用することもあり、マレーシアでの外資系企業のほとんどはマレーシアにオフショア拠点を置くMNC(多国籍企業)となっています。

製造

30%

BPO/SSC

13%

​IT

13%​

​商社

9%​

金融​

8%​

​物流

​7%

その他

​20%

職種

こちらも、他のアジア諸国と比較すると専門商社等での営業、工場管理、事務、社内ITやブリッジSE、カスタマーサポート、製造業では技術職、経理等職種の幅が広くなっています。(2023年職種傾向) ​​

製造業の技術系職種では即戦力が求められ、社内ITやブリッジSEといったWEB関連職では関連業務経験・語学力が求められます。

営業・マーケティング

23%

IT

20%

エンジニア

14%

CS

9%

工場管理・マネージメント

7%

事務

6%

経理・財務

5%

SCM

3%

その他

13%

勤務地

日本人求人はクアラルンプールやスランゴール州が勤務地となっていることがほとんどです。

  • クアラルンプール市内(マレーシアの首都。金融、商社、BPOやSSC、IT企業が多い)

  • スランゴール州(クアラルンプール市内から車で15分~1時間程の郊外都市。物流企業や幅広いメーカーなど)

  • マレーシア北部(ペナン州やケダ州:クアラルンプール市内から車で4時間強。半導体や電子部品メーカーなどが多い)

  • マレーシア南部(ジョホール州:シンガポールに隣接。食品・化学・メーカーなどが多い) ​

6. 求められるスキル・人物像

マレーシアは東南アジアの中でも成熟したマーケット、かつ、マレーシア人の日本語話者も多いことから、日本人を採用する上で「経験」「スキル」「英語力」がより重視され、即戦力であることが求められます。BPOであれば未経験でも応募可能な案件もありますが、営業・事務・IT・技術・経理職などは基本的に経験必須です。

これらの理由から、マレーシアで現地採用に求められるスキル・人物像をまとめると下記となります。すべてに当てはまる必要はありませんが、より即戦力として検討頂ける可能性が高まります。

  1. 3年以上の職務経験や業界経験(大卒の場合。短大・専門卒は5年以上)

  2. マレーシア人スタッフと問題なくコミュニケーションがとれるレベルの英語力

  3. 海外留学や就労経験

  4. 現地のカルチャーや習慣、考え方が尊重できる方 ​

7. マレーシアの現地採用のメリットとは?

マレーシアで就労するメリットを挙げると、下記のような点となります。

  • 英語が共通語ということもあり、英語環境で仕事・生活ができる(東南アジアでも上位の英語力)

  • 日本では狭き門の大手企業や外資系企業で活躍できるチャンスがある

  • 物価が安くインフラも整備され治安もよく、トータルバランスが良い環境 → 家族移住も検討しやすい

  • 自分の好きな国で好きな期間、働くことができる(納得いくまで海外で挑戦できる)

  • 実績やスキルによって日本採用に登用してもらえるチャンスがある

  • 多民族国家ということもあり、学びが得ることができる

  • 日本へUターン就職する場合でも、海外就労経験や英語力がアピールポイントとなり、キャリアアップにつながる可能性がある

現地採用で就労する事に対して、まだ決心がついていない方、将来なりたい自分像やキャリアへの道を「自分で切り開く事ができる」のが現地採用の醍醐味です。ぜひ少しでもマレーシアに興味を持った方は、お気軽にご相談ください。 ​弊社の日本人コンサルタントよりご連絡いたします。

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