マレーシアでの就職が無事に決まり、渡航まであと数ヶ月となった際、出発前に身の回りの整理をする必要が出てきます。
今回は、日本の国民年金と国民健康保険についてお話します。
皆さまご存知の通り、日本では国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人に年金への加入が、健康保険についても国民健康保険法により全国民の公的医療保険への加入が義務付けられています。
それでは、海外へ転職となった場合これらをどうすれば良いのでしょうか。
国民年金
海外転出届を出すことにより、年金の加入は自動的に停止されます。ただし任意で継続加入することができますので、その場合はお住まいの市区町村で任意加入の手続きを行います。
海外転出届を出さない場合(=住民票を残す場合)、年金の納付義務がありますので、以下のいずれかの方法で納付します。
口座振替の手続きをする
決済アプリにて支払い(納付書のバーコードが必要のためご家族などの協力が必要)
ご家族など信頼できる方に代理の納付を頼む
一定期間分を前納する
海外転出届を出し年金の加入が停止されることで、年間約20万円の出費を抑えることができるというメリットはありますが、老後に年金支給が始まった際、停止した期間分の支給が減額されてしまうデメリットもあります。
国民健康保険
年金同様、海外転出届を出すことで国民健康保険の加入資格が喪失します。
こちらのケースでは、日本への一時帰国時に万が一ケガや病気になり病院にかかる際、国民健康保険がないため医療費を全額負担しなければならないデメリットがあります。
マレーシアに関して言えば、国民健康保険のような制度自体がなく、会社が従業員向けグループ保険に加入していたり、一定の診療代や治療費を会社に請求することができる医療費クレーム制度などがあり、これらである程度の医療費をカバーすることができます。
ただし、グループ保険がどの程度までカバーされるのかは会社によって異なりますので、適用範囲を確認し、一抹の不安が残るようであれば、任意で現地の民間保険会社の医療や入院保険に加入したり、日本を出発する際に長期の海外旅行保険などに加入することをおすすめします。
海外転出届は出した方がいい?
一般的に長期間海外に住むことになった場合、特に日本国内で収入や所得が発生しない場合は、海外転出届を出したほうが年金、健康保険のみならず住民税**の支払がなくなるため、費用的な負担はかなり軽減されます。
**住民票を抜いた年の住民税の支払いは継続され、またその年に所得があった場合、翌年の住民税の支払い義務が発生します
補足ですが、海外に居所を定めて3ヶ月以上住む場合、旅券法によりその国の在外公館(現地の日本大使館や領事館)に在留届を出すことが義務付けられています。在留届を出すと居住国で緊急事態や事故、事件に巻き込まれた場合、在外公館からの連絡を受けたりや安否確認が可能になります。